ジャーナリングの効果とは?「効果がない」と感じるときに知っておきたいこと

思考を整える

この記事でわかること

  • ジャーナリングで起こることがある3つの変化
  • 書いても効果がない、心が軽くならないと感じる理由
  • 効果を感じなくても、自分を責める必要がない理由
  • 書くことでつらくなる場合の注意点
  • 研究で確認されている効果と、まだわかっていないこと

「書くと、気持ちが軽くなる」

そんな言葉を聞いて、ノートを開いてみたことはありませんか。

仕事で言われた一言。

思い通りにいかなかった出来事。

誰にも話せなかった気持ち。

頭の中にあるものを書き出してみたけれど、書き終わっても、やっぱりモヤモヤしている。

むしろ、書いたことで余計に考え込んでしまった。

「ジャーナリングって、本当に効果があるの?」

そんなふうに感じたとしても、不思議ではありません。

書くことで気持ちが整理されたり、少し楽になったりする人もいるでしょう。

けれど、書いたからといって、必ず心が軽くなるわけではありません。

何も変わらない日もあれば、かえって苦しくなる日もあります。

それは、書き方が間違っているからとも、努力が足りないからとも限りません。

そもそも、私たちの気持ちは、何か一つの方法ですぐに変えられるものではないからです。

今日は、ジャーナリングに期待できることと、期待しすぎなくてよいことについて、一緒に考えてみたいと思います。

1. ジャーナリングで起こることがある3つの変化

書くことには、頭の中にある考えや気持ちを、少し違った形で眺めるきっかけになる側面があります。

ただし、ここで紹介するのは、誰にでも必ず起こる効果ではありません。

書くことを通して、こんな変化を感じる場合もある、というお話です。

① 頭の中にある言葉を、外に置いてみる

悩んでいるとき、頭の中では同じ言葉が何度も繰り返されることがあります。

「あのとき、どうしてあんなことを言ったんだろう」

「嫌われたかもしれない」

「また同じことになったらどうしよう」

一つの出来事を考えているつもりでも、いつの間にか過去の後悔や未来への不安まで重なっている。

そんな経験はないでしょうか。

書くことは、頭の中で行き来している言葉を、一度、目に見える場所へ置くようなものです。

散らかった部屋の荷物を、ひとまず並べてみる。

それだけで部屋が片づくわけではありません。

けれど、何がそこにあるのかは、少し見えやすくなるかもしれません。

書くことも、それに似ています。

悩みが消えるわけではなくても、「今、自分はこんなことを考えていたんだ」と気づくことがあります。

もちろん、書いても頭の中がいっぱいのまま、という日もあります。

それでも構いません。

言葉を外に置くことと、問題を解決することは、同じではないのです。

② 出来事・感情・解釈を、分けて見やすくする

たとえば、職場で挨拶をしたのに、相手から返事がなかったとします。

そのあと、ずっと気になってしまう。

「何か悪いことをしたのかな」

「嫌われているのかもしれない」

そんなふうに考え始めることもあるでしょう。

ここで、書いた言葉を少し分けてみると、違った見え方が生まれる場合があります。

出来事

「朝、挨拶をしたけれど、返事がなかった」

感情

「寂しかった。少し不安になった」

解釈

「嫌われているのかもしれない」

頭の中では、この三つが一つになっていることがあります。

けれど、返事がなかったことは、その場で起きた出来事。

寂しさや不安は、自分が感じたこと。

そして、嫌われているかもしれないという考えは、その出来事についての解釈です。

どれかを否定する必要はありません。

相手が何を考えていたのかも、この記録だけではわかりません。

ただ、出来事と自分の受け止め方を、少し分けて眺められることがあります。

感情に正しい名前をつけたり、原因を必ず見つけたりする必要もありません。

「よくわからない」という言葉が残ることもあるでしょう。

それも、そのときの自分に近い記録です。

③ 時間を隔てて、以前の言葉を眺める

書いた直後には、何も変わらなかった。

けれど、しばらくたってから読み返すと、少し違うことを感じる場合があります。

たとえば、何週間か前の記録に、

「今日は何もできなかった」

と書いてあったとします。

その日には、ただ自分にがっかりしていたのかもしれません。

でも、時間をおいて読み返すと、

「あの頃は、ずいぶん忙しかったな」

と思うこともあるでしょう。

反対に、読み返しても何も感じないこともあります。

以前のつらさを思い出して、読みたくなくなる場合もあるかもしれません。

どちらでもいいのだと思います。

記録を残すことは、過去の自分を採点するためではありません。

当時、どんな言葉を残していたのか。

必要なときに、もう一度眺められる。

そんなところにも、書き残すことの意味を感じる人がいるのではないでしょうか。

2. 「ジャーナリングは効果がない」と感じる4つの理由

ジャーナリングがよいと聞いて始めたのに、期待したような変化がない。

そんなとき、つい自分の書き方を疑ってしまうことがあります。

けれど、効果を感じにくい理由は、一つではありません。

① 現実の問題は、書くだけでは解決しないから

職場の人間関係に悩んでいるとします。

ノートに思っていることを書いて、状況が少し見えてきたとしても、翌日にはまた同じ人と顔を合わせる。

仕事の負担が減るわけでも、相手の態度が変わるわけでもありません。

書くことで自分の考えが見えやすくなる場合はあっても、現実の問題そのものが解決するとは限らないのです。

ときには、誰かに相談したり、環境を調整したり、休息を取ったりすることが必要な場合もあります。

② すぐに変化が現れるとは限らないから

書き終わった直後に、気持ちが軽くなる人もいるでしょう。

一方で、何も変わらない人もいます。

昨日と今日で感じ方が違うこともあるかもしれません。

気持ちの変化には個人差があり、書いた直後の感覚だけで、その時間の意味を判断することは難しいものです。

ただし、「今は効果がなくても、続ければ必ず変わる」という意味でもありません。

変化が現れない可能性も、自然なこととして考えておきたいと思います。

③ 今の自分に、書き方が合っていないこともあるから

自分の気持ちを詳しく書こうとすると、かえって苦しくなることがあります。

思い出したくない出来事に触れたり、まだ言葉にしたくない感情を無理に探したり。

そんなときは、書くこと自体が負担になるかもしれません。

その場合、必要なのは書き方をもっと頑張ることではなく、今の自分に合った距離を考えることなのだと思います。

④ 効果を探すことが、新しい採点になるから

「昨日より前向きになれたかな」

「まだ同じことで悩んでいる」

「こんなに書いたのに、変わらない」

そんなふうに、書いたあとの自分を評価してしまうことはありませんか。

気づけば、ジャーナリングが自分の成長を確かめるための宿題になっている。

それでは、少し疲れてしまいます。

書いた時間に、必ず結果を求める必要はありません。

何かが変わったかどうかを、毎回確認しなくてもいいのです。

3. 効果を感じないことは、失敗ではありません

書いても、心が軽くならなかった。

何日か続けても、何も変わらなかった。

そんなとき、「自分には向いていないのかな」と感じることもあるでしょう。

けれど、それは失敗ではありません。

ジャーナリングは、毎日続けなければならないものでも、決められた成果を出すためのものでもありません。

今日は書かない。

しばらく休んでみる。

自分には合わないと思ったら、やめる。

そのどれもが、選んでよいことです。

書いた言葉に意味を見つけられなくても構いません。

何も変わらないまま、その日が終わることもあるでしょう。

書くことまで、自分を評価する材料にしなくていい。

SelfLabでは、そう考えています。

4. 書くことで、かえってつらくなる場合もあります

ここは、少し大切なお話です。

書くことは、いつでも心地よい体験になるとは限りません。

たとえば、過去の苦しい出来事について書き始めたら、その場面が何度も頭に浮かんでしまう。

書いているうちに、

「やっぱり自分が悪かった」

「どうしてあんなことをしたんだろう」

と、自分を責める言葉が強くなってしまう。

そんな場合も考えられます。

また、書いたあとも苦しさが続き、眠れない、仕事や日常生活に支障が出るといった状態が続くこともあるかもしれません。

そのようなとき、無理に書き続ける必要はありません。

つらい記憶を最後まで書かなければならないわけでも、何かの答えにたどり着く必要もありません。

いったん中断する。

記録から距離を置く。

信頼できる人に話す。

そして、つらさが強いときや生活への支障が続くときは、医療機関や心理の専門家、相談窓口を利用することも選択肢です。

ジャーナリングは、心の状態を診断したり、病気を治療したりするための代替手段ではありません。

書くことが今の自分に合わないと感じたら、その感覚を大切にしてよいのです。

5. 研究でわかっていることと、まだわからないこと

では、ジャーナリングの効果は、研究ではどのように調べられているのでしょうか。

心理学には、ストレスのある出来事や感情について文章を書く「エクスプレッシブ・ライティング(感情表出筆記)」という研究領域があります。

日常的なジャーナリングと重なる部分はありますが、同じものではありません。

研究では、書くテーマ、時間、回数などを決めた条件で、その影響を調べることが多いためです。

研究全体では、小さな効果が報告されています

2023年に学術誌『British Journal of Clinical Psychology』に掲載されたメタ分析では、31件のランダム化比較試験、計4,012人分のデータが分析されました。

対象は、主に健康な人や、臨床的な診断に至らない程度の症状を持つ人たちです。

研究ごとに設定された条件で感情について書くグループと、比較対象のグループの結果を調べています。

その結果、抑うつ、不安、ストレスの症状について、全体として小さいながらも統計的に有意な改善効果が報告されました。

効果量はHedges’ g = −0.12、95%信頼区間は−0.21〜−0.04でした。

これは、研究全体で平均すると小さな改善傾向が見られたという意味であり、個々の人がどの程度楽になるかを示す数値ではありません。

また、決められた条件で行う感情表出筆記の結果を、日常的な自由なジャーナリングにそのまま当てはめることはできません。

効果が長く続くとは限りません

2009年に報告された研究では、大学1年生68人が、感情表出筆記と比較対象の筆記に分かれて参加しました。

参加者は3日連続で、1回20分ずつ文章を書きました。

感情表出筆記のグループでは、強いストレスやつらい体験について感情を交えて書き、比較対象のグループでは日常の行動を感情を交えずに書いています。

その後、2か月、4か月、6か月の時点で状態を調べました。

2か月後には、感情表出筆記のグループで抑うつ症状が比較的少ないという結果が見られました。報告された効果量はCohen’s d = 0.43です。

しかし、4か月後と6か月後には、統計的に有意な差は確認されませんでした。

また、不安やストレス、身体的な不調、学業成績についても、明確な改善は確認されていません。

この研究は参加者が68人と限られており、大学生活を始めた学生を対象としています。

すべての年代や生活状況の人に、同じ結果が当てはまるとは言えません。

研究結果と、日常の「心が軽くなる」は同じではありません

ここまでの研究から、決められた条件で感情について書くことが、一部の心理的な症状に小さな改善をもたらす可能性は考えられます。

一方で、すべての人に効果があるか、どれくらい続くか、自由に書く日常のジャーナリングでも同じことが起こるかについては、慎重に考える必要があります。

また、研究で測定される症状の変化と、日常生活の中で感じる「心が軽くなった」という実感は、必ずしも同じではありません。

この記事で紹介した「言葉を外に置く」「出来事と解釈を分ける」「後日読み返す」という3つの変化についても、これらの研究がそれぞれの効果を直接証明しているわけではありません。

研究結果を理由に、「書けば必ず楽になる」と約束することはできないのです。

参考研究

  • Guo, L. (2023). The delayed, durable effect of expressive writing on depression, anxiety and stress: A meta-analytic review of studies with long-term follow-ups. British Journal of Clinical Psychology, 62(1), 272–297. https://doi.org/10.1111/bjc.12408
  • Sloan, D. M., Feinstein, B. A., & Marx, B. P. (2009). The durability of beneficial health effects associated with expressive writing. Anxiety, Stress, & Coping, 22(5), 509–523. https://doi.org/10.1080/10615800902785608

6. SelfCodedは、記録を残し、時間を隔てて眺める場所

SelfLabがつくるSelfCodedも、書くことで必ず心が軽くなるとか、自分が成長できると約束するサービスではありません。

大切にしているのは、そのときの出来事や気持ちを、自分の言葉で残しておくこと。

そして、必要なときに、時間を隔てて読み返せることです。

今は意味がわからない言葉も、後日読むと違って見えるかもしれません。

何も変わらないかもしれません。

どちらであっても構いません。

AI「あかり」は、あなたの正解を決めません

SelfCodedには、記録に寄り添うAI「あかり」がいます。

あかりは、書かれた言葉から本人の人物像を決めつけたり、悩みの本当の原因を断定したり、人生の正解を示したりする存在ではありません。

記録に対して、あかりから返事が届くことがあります。

その返事を読むかどうかは、本人が決めることです。

読んだとしても、どう受け取るか、どんな意味を感じるかは、本人に委ねられています。

納得する必要も、返事に従う必要もありません。

自分の記録は、自分のもの。

そして、その言葉の意味を決めるのも、自分自身です。

SelfCodedについて詳しく見る


おわりに|心が軽くならない日にも

書いても、何も変わらなかった日。

同じことを考え続けてしまった日。

何を書けばいいのかわからなかった日。

そんな日があってもいいのだと思います。

ジャーナリングは、書いた回数や、気持ちが変わった速さで評価するものではありません。

書きたいときに書く。

読み返したいときに読む。

つらいときには、距離を置く。

そのどれも、自分で選んでよいことです。

もしかしたら、何週間か後に、以前の言葉を違った気持ちで眺める日が来るかもしれません。

来ないかもしれません。

それでも、今日の自分が何かを感じていたことまで、否定する必要はないはずです。

心が軽くなることを、書くための条件にしなくていい。

SelfLabは、そう考えています。

自分の感情がよくわからないときには、「自分の感情がわからないときに|モヤモヤを無理に整理せず、言葉に近づく方法」も参考にしてみてください。

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