100件の好意的な言葉より、1件の否定的な言葉が気になる|Dr Julie Smithの対談から

思考を整える

うれしい言葉をたくさんもらったはずなのに。

あとになって思い出すのは、たったひとつの否定的な言葉だった。

そんな経験はないでしょうか。

褒めてもらったことより、少し引っかかった一言のほうが、なぜか頭に残る。

「気にしなければいい」と思っても、気になるものは気になる。

The Diary Of A CEOに出演した臨床心理士のDr Julie Smithは、対談のなかで、こんな人の心の傾向について話しています。

好意的なコメントが100件あっても、そのなかから否定的なひとつを見つけてしまう。

彼女はそれを人に起こる傾向として説明します。

でも興味深いのは、彼女自身がその外側にいるようには話さないことでした。

心理学を知っている専門家も、私たちと同じ日常を生きています。

この対談には、そんな瞬間が何度か出てきます。

心理学を知っていても、気になるものは気になる

Dr Julie Smithは、イギリスで長く臨床に携わってきた心理士です。

NHSなどで15年以上にわたり心理療法の現場に立ち、その後、SNSを通じて心理学の知識を一般の人にも伝えるようになりました。

今回紹介するのは、Steven Bartlettによるインタビュー番組「The Diary Of A CEO」に彼女が出演した回です。

対談では、不安や自信、人間関係、仕事、睡眠、人生で大切にするものなど、さまざまなテーマが語られます。

SNSへの反応について話す場面で、Dr Julie Smithは、好意的なコメントがたくさん並んでいても、否定的なものへ目が向いてしまう人の傾向を説明します。

そして話は、彼女自身が発信する立場になって経験してきたことへと続いていきます。

知識があるから、何も気にならなくなるわけではない。

感情について理解しているからといって、いつもその通りに自分を扱えるわけでもない。

彼女は、そのことをきれいな成功談にして話しません。

「本当は、とても内向的で、人見知りなんです」

対談のなかで、Dr Julie Smithは自分自身について、こんなことを話しています。

“I’m actually very introverted, shy person. My ideal day is kind of at home alone with a book probably.”

「実は私はとても内向的で、人見知りなんです。理想の一日は、たぶん家で一人、本を読んで過ごすこと。」

多くの人の前で話し、SNSを通じて何百万人もの人に言葉を届けている人から出てくる言葉としては、少し意外に感じるかもしれません。

彼女は、最初から人前に出ることが得意だったわけではありません。

発信する人として知られるようになり、公の場に出る機会が増えていくなかで、「本当にこれを続けたいのか」と何度も自分に問いかけたことも話しています。

小さな子どもを3人育てながら、朝5時に起きてTikTokの動画を撮っていた時期もありました。

夜中に子どもの世話をし、そのまま早朝から動画を作る。

そんな生活について、彼女自身が長く続けられるものではなかったと振り返っています。

睡眠について話す場面でも、自分自身の睡眠管理はいまも簡単ではないことを率直に語っています。

知っている方法を、いつも自分が使っているわけではない

もうひとつ、印象に残る場面があります。

不安への対処として呼吸法の話題になったときのことです。

Dr Julie Smithは、自分自身ではそれほど実践していないと答えています。

知っている方法を、本人もすべて実践している。

専門家について、私たちはどこかでそんな姿を想像してしまうことがあります。

けれど、この対談で彼女は、自分をそう見せようとはしていません。

知っていること。

人に伝えられること。

そして、自分の毎日のなかで実際にできること。

その間にある距離を、隠さずに話しています。

ここからは、SelfLabの視点です

知っているのに、できないとき

対談を聞いていると、すべてを解決した人が正解を教えているというより、知識を持ちながらも、一人の生活者として現実との間を行き来している姿が見えてきます。

SelfLabとして興味深く感じたのは、その距離が「なくすべきもの」として語られていないことでした。

知っているのに、できない。

分かっているのに、気になってしまう。

私たちは、そんな自分を見つけると、「まだ足りない」と考えてしまうことがあります。

でも、知ることと、毎日その通りに生きることの間には、もともと少し距離があるのかもしれません。

その距離があることまで、失敗にしなくてもいい。

この対談を聞きながら、そんなことを考えました。

今日の問い

あなたにも、「分かっているのに、なかなかできないこと」はありますか。

もしあるとしたら。

それは本当に、できるようになるまで自分を責め続けなければならないことでしょうか。

答えを急いで決めなくてもいいのだと思います。

出典・原典

この記事で紹介したのは、長い対談のほんの一部分です。

The Diary Of A CEOのE122では、このほかにも、自信、不安、人間関係、価値観と目標、仕事と生活などについて、Dr Julie SmithとSteven Bartlettがかなり率直に話しています。

この記事だけで「分かった」ことにするよりも。

どこかひとつでも気になる言葉があったなら、ぜひ二人の会話そのものを聞いてみてください。

番組:The Diary Of A CEO with Steven Bartlett
エピソード:E122
出演:Dr Julie Smith
聞き手:Steven Bartlett
配信日:2022年3月3日
原典:YouTube「World Leading Psychologist: How To Detach From Overthinking & Anxiety: Dr Julie Smith」
URL:https://www.youtube.com/watch?v=iLlrIi9-NfQ